総合政策学部2006年度合格解答例 環境情報学部2006年度合格解答例

慶応義塾大学総合政策学部小論文(2006)解答復元


解答例1 解答例2

問1
 世論とは、単なるステレオタイプとしての多数決の結果ではなく、 二項対立式ではない議論の結果として生まれた考えであると定義したい。 また、その議論は少数派を抹殺するものではなく、「価値の差」を重視した ものである必要があると考える。

 現在の世論は、メディアの力の影響を大きく受けている。小泉首相の ポピュリズムに代表されるように、ほとんど何も知識がないにもかかわらず、 「かっこいいから」、「堂々としているから」などの理由で、素人が投票するよう になっている。このような世論は本当に日本人の意志を繁栄しているとはいえないし、 意味がないと考える。要するに、私は多数決による世論の出し方に反対したい。 メディアに流されて投票する人も、自分の意見を持って投票する人も同じ一票である ことは問題である。

 そこで、私は日本の様々な分野で働く人々の中から、エリートを選びだして、 その中で議論を行わせることが重要であると考える。素人には何が 自分のメリットになるのか、誰に投票すれば自己の利益につながるのかなどは わかりにくい。そこで、様々な利害関係を持つ人々の中から議論を行うことの できるエリートを選び出し、自分に似た境遇にいる人の意見を重視して聞く、という ことが重要であると考える。また、その人が自分の言いたいことを 言ってくれる可能性が高いので、他の人と意見をぶつけ合うことができる。 その議論によって生まれた新しい意見、つまりどこにも利益が偏らず、 皆が納得できる意見を世論とするべきである。 世論の出し方には問題があるが、人々が単純に周り、つまりポピュリズムなどに流されずに 自己の意見を発した事例として、自衛隊派遣の際の世論がある。 アメリカがイラクに軍隊を派遣した際に、日本は自衛隊をイラクに送るか否かについて世論調査が行われた。 今までの現状から考えると、アメリカとの安全保障などの関係から、 アメリカと同じように自衛隊を派遣するのが無難であったと考える。しかし、 大きな戦争の経験を持つ日本人であることから、世論は派遣に反対という結果に達した。 これにより、日本国民は周辺の国々と単純に協調するというだけではなく、 自分らの意志をしっかり持ったものであるということを明らかにした。 時には協調よりも必要なものがあることを自覚するべきである。

問2.
  2007年の賭けでは、新聞が勝つと予想する。確かに、ウェブログは匿名であるため、非常に自由な議論を行うことができる。 通常では既存の人間関係などによって自分の意見を萎縮してしまうことが多いが、 匿名の制度により、より公平な議論を行うことができる。 また、より多様な人々から意見を集めることができる。

 しかし、このウェブログの弱点は同じく匿名性にある。 匿名であるため、自分の発言に責任を持たず、他の人に悪口を言うことが 容易になる。そのうえ、情報の信頼度も低い。インターネット上には間違った情報も 多くあるので、誤解してしまう恐れがある。また、情報が氾濫し過ぎて 逆に探しにくくなっている。

 この点、新聞ならばかなり高い信用度の情報を集めることが可能である。 なぜなら、もし誤った情報を流せば信用がなくなり、新聞会社がつぶれてしまう 恐れがあるからである。また、強い偏見を持った意見も少ない。よって、新聞が有利であると考える。


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